『夢をかなえるゾウ1』が気になる人へ|やる気を増やすより、一つ試すための読み方
選書・構成:小田作の本棚 | 書誌確認:2026年9月14日
変わりたい気持ちはある。でも、やる気が出る話を読んだだけで一日が終わってしまう。そんな人には、立派な成功法則を増やすより、物語を入口に一つだけ試す読み方が合うかもしれません。
水野敬也 著
文響社
文庫版/2020年7月9日刊/402ページ
ISBN:9784866512419
「僕」とガネーシャのやりとりを入口にする本
『夢をかなえるゾウ1』は、水野敬也さんの物語形式の自己啓発書です。出版社の紹介では、主人公の前に関西弁を話すゾウの神様・ガネーシャが現れ、身近な課題を出していきます。たとえば靴を磨くこと。壮大な目標とは距離がありそうな行動が入口に置かれています。概要は文響社の文庫版紹介を確認しました。
説明を箇条書きで読むより、登場人物の会話を追うほうが入りやすい。そのタイプの人に候補として渡したい本です。ただし、課題を真似すれば誰もが成功する、という保証を求めて選ぶ本ではありません。
「読む」と「やった」を、別々に数えてみる
ここからは当サイトの提案です。自己啓発の本を読むとき、ページが進んだことと、暮らしで何かを試したことを分けてみます。どちらも悪いことではないけれど、変化を確かめたいなら、読書量だけでは分からないからです。
紙の左に「気になったこと」、右に「実際に試したこと」を一行ずつ。右側が空白でも、それは失敗の証拠ではありません。時間がなかったのか、内容が合わなかったのか、何から始めればよいか曖昧だったのか。次を考える手がかりになります。
試すなら、三日で判定できるほど小さく
当サイトの小さな実験例
気になること:朝、必要なものを探して慌てる。
試すこと:寝る前に、明日使うかばんだけ定位置へ置く。
確かめること:三日後、朝の探し物は減ったか。
これは書中の課題ではなく、当サイトが作った架空の例です。達成したら人生が変わる、と大きくしない。役に立たなければ置き場所を変える、そもそもやめる。それも実験の結果です。
「毎日一時間」「全部の課題を完璧に」と決めると、行動の前に準備で疲れることがあります。最初は道具も費用もほとんど増やさず、生活の中で完了が分かるものを一つ選ぶ。読書を新しい義務にしないための工夫です。
勧めたい人と、いまは別の本がよさそうな人
会話や物語から入りたい人、考えるばかりで最初の行動が決まらない人には候補になります。肩の力を抜いて本に戻る入口を探している人にも、まず試し読みで語り口を見てほしいと思います。
反対に、研究データや体系的な理論を詳しく比較したい人は、期待がずれるかもしれません。ガネーシャの口調や物語上のやりとりも好みが分かれるところ。評判がよいからと無理に合わせず、数ページ読んで自分のテンポに合うかで決めて大丈夫です。
動けない人を責める本にはしたくない
疲れ切っている、家族の世話が続いている、必要なお金や時間がない。行動できない理由は、意志の弱さだけではありません。そういう状況を飛ばして「やらないから変われない」と他人へ突きつけるためには使いたくない。
家族に渡す場合も、「これを読んでちゃんとして」ではなく、「物語が合いそうならどうぞ」くらいで。本人が本を選ぶ余地、途中でやめる余地を残すほうが、読書を始めるきっかけとしては穏やかです。
小田作の余白
本を一冊読んだ自分に、急に別人になれとは言わんでええ。靴一足でも、机の端っこでも、今日触れられるところからで十分。面白く読んで終わる日があっても、それはそれで本とのええ時間やと思う。
同じ一歩でも、別の入口はある
課題に取り組む気分ではなく、まず物語に浸りたいなら『成瀬は天下を取りにいく』。行動を増やすより、今の負担を減らしたいなら『エッセンシャル思考』も候補です。
紹介しているのは『1』の文庫版です。シリーズの別巻や他の版と間違えないよう、購入前に巻数とISBNを確認してください。急いで全巻をそろえる必要はありません。

コメント